27歳の頃の話です。
当時の僕はものすごく狭い家に住んでました。
勘の良い僕はその家に住み始めてすぐに気づきました。
「あ。この家にはゴキブリがいるぞ。」と。
そう。その家には既にゴキブリが多数住み着いていたのです。
今まで、ゴキブリたちは無人の家で平和に暮らしていたのでしょうが、
僕が引っ越してきたからにはそうはいきません。
その日から僕とゴキブリの戦いははじまりました。
ゴキブリを見かけたらゴキジェットで攻撃を仕掛けてみたり、
巣を壊滅させるためにバルサンを焚いてみたりと、それはそれは壮絶な戦いでした。
そしてある時、戦いの中で僕は気づいてしまったのです。
「あれ?ゴキブリ視点で見たら、俺、フリーザじゃね?」と。
僕が引っ越してくる前、ゴキブリ達はその家で平和に暮らしていたわけで、
僕は平和な日常に突然現れた、やたら戦闘力が高い未知の生物なわけです。
これはまさに、ナメック星人からみたフリーザ像そのものではないでしょうか。
子供の頃、ナメック星人を虐殺する姿を見て、「なんて極悪非道なやつなんだ」と思ってましたが、どうやら僕のゴキブリに対する行いも対して変わらなかったようです。
そしてその日から、僕はゴキブリを攻撃できなくなってしまいました。
いまはもうその家からは引っ越していて、新居ではゴキブリを見たことはないのですが、
もし見つけてしまったとしても撃退できる自信がありません。
フリーザは惑星ベジータを破壊したことによってサイヤ人に恨まれました。
僕もバルサンをつかって結構な数のゴキブリの巣を破壊してしまったという自負があります。
いつか僕のもとにも、伝説のスーパーゴキブリが復讐に来るかもしれませんし、こないかもしれません。じょうじじょうじ。とか言いながら。